音楽レビュVOL.10

RADWIMPS有心論


神を信じるものが用いる「有神論」という言葉があるが、RADWIMPSのボーカル野田洋次郎は「神」という者の存在を信じておらず、‘「心」ならば信じられる‘という思いからつけられたのがこのタイトル。(いわゆる造語)


これまで彼は「心」についてたくさんの曲を書いてきた。しかし、この「有心論」は何かがいつもと違う。

彼らの曲は相手に対する尊敬の念や異常なまでの愛情表現を語りつくしたものが大半であるが、今回はその相手に対する感情に異変が見られる。

もちろん前文でも取り上げた相手に対する尊敬の念等は今回も語られているのだが
その相手が不在という元で作られた物語に思えるのだ。

ダイレクトに「そんな君はいない、いない、いないから」と歌う。こんなに悲痛な洋次郎の詩は今まで見たことがない。

メロディやサウンドは3rdアルバムからの流れを引き継いでいるが、ここにきて野田洋次郎の新たな表現スタイルを見た気がした。