音楽レビューVOL.16
「RADWIMPS4〜おかずのごはん〜」
「生」と「死」は常に紙一重なものであり、生きている限りいつだって誰にだって死ぬ可能性はある。死んだものは決して生き返らないが、生きているものはいつか必ず死ぬ。
当たり前の事かと思うかも知れないが、大抵の人間はこの「いつか死ぬ」という概念をあまり深く考えようとしない。
もちろん僕だってそうだし、いつか自分が死ぬなんてことを考えても何もプラスに働きはしない。
以上のことを踏まえるとRADWIMPSのコンポーザーである野田洋次郎はかなり異常な人間であるのかも知れない。
常に「死」という存在と向き合いながら、決して悲観することなく自身の中にある「生」と「死」のほんのわずかな隙間を「愛」と言う一言で
表現している。
「リアル」なんて言葉が嘘みたいにフィットしてしまう、それがRADWIMPSの奏でる音楽である。
このアルバムでは、特にそのようなテ一マがものすごい振り幅で描かれている。「生と死」そして「愛」の存在がひたすら「音」に注入された、まさに
「人間くさい」一枚。
音楽レビューVOL.15
人気急上昇中の彼らの1STアルバム。
RADWIMPSといえば野田洋次郎のユニーク且つダイレクトな詩世界が魅力だと僕は思っているのだが、この1STアルバムは今までリリースされたどの作品よりもダイレクトなものになっている。
彼らの楽曲「トレモロ」の歌詞ではないが、人間というものは本当に伝えたい言葉をうまく伝えられない生き物なのである。
その中で言葉をうまく組み合わせ、大衆の気持ちを代弁することのできるのが優れたソングライターなのだと僕は思う。
野田洋次郎はまさにその才能を持ち備えた、超人的なソングライターなのである。
この1stアルバムは主に彼が高校生の時に書かれたものであるためか、どれもこれも初期衝動丸出しの青春ソングとなっている。尚且、後の作品と比べても極めてパーソナルな楽曲が多いことでも印象的だ。理論もくそもない、口からそのまま出てきそうな言葉をダイレクトにポップなメロディーにのせているように感じられる。それでいて「音楽」というパーツとして成り立っているのだから恐ろしい。僕も多少ではあるが作詞作曲の経験があるためわかるが、これは簡単なように見えて実はめちゃめちゃ難しいことなのだ。
野田洋次郎の才能と初期衝動が生み出した、記念碑的青春ポップアルバムと言えよう。
音楽レビューVOL.14
「LASTLIVE IN SHILVER ELEFHANT 」LAMINA
世界に5枚しか存在しない、LAMINAのラストライブを収録した1枚。
2005年の一年間で製作した9曲をすべて収録したなんとも自己満な一枚 笑
活動中、特に音源をとったりはしなかったためこれが唯一のCD作品。
当時は感じなかったが、今聞くと結構曲がいい 笑 演奏も難しいことはしていないが(というかできない)意外とまとまっている。
また、ドラムの佐藤君はLAMINAの演奏レベルが5段階アップすれば、このバンドでやっていってもいいと思っていたという逸話がある。
そういう意味ではとても惜しいバンド。ベースのクソ野郎が脱退したおかげで活動休止に。笑
全曲解説
1.この声が枯れるまで
2分ほどのボーカルの弾き語りから始まり、サビで一気にバックが入ってるという
まあ、銀杏BOYZで言えば「人間」のような位置にあたる曲。
途中でボーカルのストラップがはずれ一気に音が薄くなる。
キーが高すぎて、急遽コードを変えたという情けない事情のある一曲。
2・NOT HERE
個人的には最高傑作。あーいい曲だなーとサラリと言えるポップナンバー。
Aメロの音程がひどいですが、サビはなかなかよく歌えている 笑
3.輝星
曲作りに煮詰まって適当にスタジオにもって行ったところ、思わぬ大盛況を受ける。
イントロのコードがラルクのある曲に似ていますが気にしないでください。
4. SKY IN THE MOON
文法はめちゃくちゃだけど、いい曲だねと絶賛される(うれしいやら、悲しいやら
俺からしたらどこがいい曲なのかわからない一曲。
内容は戦争反対という意外にシビアなもの。
5.ヒマワリ
確かに曲としては受けがいいし、ライブでも盛り上がったんだけど正直俺の中ではあってもなくてもいい曲。
6.思考回路
ストレイテナーの「EVERGREEN」みたいな曲が作りたくてFOR4前にもかかわらずスタジオ内で作曲。結局FOR4ではやりませんでしたが。
7.FOUR YEARS AGO
多分、仲間うちでは一番人気のある曲。
失恋をするといい歌詞かけると言うジンクスはこの曲から始まりました。
8.YOU&ENDLESS SUMMER
急遽アンコールで演奏。初めて作曲したのがこれ。
SOPHIAのある曲に似ているといううわさがありますが、気にしないでください。
9.ありがとう
これだけ、FOR4でのライブ音源。
現在YOU TUBEで絶賛配信中(笑
まあ、なかなかいい曲だと思います。
音楽レビューvol.13
嵐「アオゾラペダル」
ジャニーズ事務所に所属するアーティストの曲に名曲が多数存在するのは周知の事実だが、この曲は最近のジャニーズのヒット曲の中でも群を抜いてすばらしい作品だと思う。
今作は作詞作曲がスガシカオ(僕の大学の先輩にあたる)によるもの。
本来、自身の音源としてリリースするはずであったらしいが、「ハチミツとクローバー」挿入歌の話がきたことから嵐に提供することになったという。
スガシカオといえば、「夜空のムコウ」の作詞者としてあまりにも有名だが、自身作曲の作品で世の中に浸透している曲は意外に少ない。
シングルヒットは少ないものの、業界からの評価は絶大なものであるしアルバムをだせばチャート上位に必ず顔を出す売れっ子である。
(俗にいうアルバムアーティストと言うことであろう。浜田省吾やここ数年の奥田民生もその類にあてはまる)
なぜ彼に世の中に浸透するようなヒット曲がないかについて、僕なりの意見を書こうと思う。
まず第一にあげられるとしたら「声」という障害がある。もちろん、ハスキーでエロティックな雰囲気を漂わせる彼のボーカルはあまりにも魅力的だが「j-pop」を歌うのにあまり有利な声の持ち主ではないのである。
どんなにポップな歌を歌っても必ず「スガシカオ」とゆうグレイなカラーに染まりその曲の持っているポップ感を殺してしまうのだ。(もちろん、そこがファンをひきつける魅力でもある)
そして第二に、これが一番本質的な部分でもあるのだが、彼は世間一般で言うポップ
な曲をあまりかかない。(あえてあまり書いてないのだと思うが。)
すばらしい音楽の才能をもっているにもかかわらず「売れる曲、浸透しえる曲」という視点から見ると少し世の中からずれたアーティストなのである。
今回の「アオゾラペダル」は歌詞、メロディともに万人をひきつけられるすばらしいものであるが、本人がボーカルをとりリリースされてもここまで浸透されなかったと僕は思う。
スガシカオのすばらしい楽曲に、嵐のつたなくはあるが、ポップネスに満ちたボーカルが重なり初めてこの曲は万人を惹き付ける魅力を帯びたように思う。
つまり「スガシカオ」と言うアーティストはどこまでも煮え切らないところに最大の魅力を持つ稀有ですばらしい存在なのである。
前置きが長くなったが、「アオゾラペダル」について。
まず歌詞だけを見ると彼女を自転車にのせて走っているというシンプルな内容であるが、今時こんなシンプルな内容をここまで切なく描けるミュージシャンを僕は見たことがない。
些細な事をいかに第三者に伝えられるかがj−popの醍醐味であると僕は思っているのだが、この曲はその醍醐味を究極にいかしたpopソングである。
そして何より、バンドのアレンジがとにかくすばらしい。イントロを聞いただけで「これはいい曲だ」と人を思わせるマジックをもった王道のサウンドに仕上がっている。
「アオゾラペダル」のような曲が売れると(売り上げは確か30万枚弱。実際もっと売れてもいい曲だと思う)停滞気味と呼ばれている「j−pop」市場もまだまだ捨てたものじゃないなとしみじみ思う。
音楽レビューVOL.12
「OVER DRIVE」 FASTLANE
洋楽のメロコアというものには洋楽ならではの「くせ」いうものがある。
どんなに発音のいい日本人のメロコアバンドでもサウンドを聞けば日本のバンドかそうでないかは大体見分けがつくと思う。
日本で一般にメロコアと呼ばれているELLEGARDENやlocofrankなどと聞き比べるとその違いはかなり顕著なものだ。
しかし、このFASTLANEと言うバンドのサウンドには洋楽独自の「くせ」はあるものの、メロディの根本に日本のバンドにかなり近いものが感じられる。(曲にもよるが)
イギリスやアメリカではメロディアスすぎるものはあまり受け入れられないという、日本人からしたら訳のわからないテーゼがあるらしいが、FASTLANEはその風潮をものともせずポップに生きるバンドである。
新人と言うこともあり、日本での評価はあまり下されていない現状だが確実に邦楽ユーザーにも届く音楽を作り出していると感じた。
FASTLANE、要注目である。
音楽レビューVOL.11
「DEMO」 OTHER STAIN
村野路明率いるロックバンド‘OTHER STAIN‘のデモ音源。
「T.O.P」「ミステイク」「ウルムハート」の3曲を収録。
一発録ということで音も良質とは言い難いし、演奏面も粗い点が多々見られるが、そこには確かなオリジナリティが確立されている。村野の悲鳴のようなシャウトと個性あふれる詩世界。そして切磋琢磨なリズム隊。上手い下手ではなく、必死に演奏する彼らの中から生まれるオーラというものは唯一無二と言えよう。ASIAN KUNG FU GENERATIONやストレイテナーが好きだという人にはもってこいのバンドであろう。これからが最も楽しみなバンドの一つである。
音楽レビュVOL.10
神を信じるものが用いる「有神論」という言葉があるが、RADWIMPSのボーカル野田洋次郎は「神」という者の存在を信じておらず、‘「心」ならば信じられる‘という思いからつけられたのがこのタイトル。(いわゆる造語)
これまで彼は「心」についてたくさんの曲を書いてきた。しかし、この「有心論」は何かがいつもと違う。
彼らの曲は相手に対する尊敬の念や異常なまでの愛情表現を語りつくしたものが大半であるが、今回はその相手に対する感情に異変が見られる。
もちろん前文でも取り上げた相手に対する尊敬の念等は今回も語られているのだが
その相手が不在という元で作られた物語に思えるのだ。
ダイレクトに「そんな君はいない、いない、いないから」と歌う。こんなに悲痛な洋次郎の詩は今まで見たことがない。
メロディやサウンドは3rdアルバムからの流れを引き継いでいるが、ここにきて野田洋次郎の新たな表現スタイルを見た気がした。